高山と結晶

2024.3.2-17
soloexhibition
kankakari 京都

高山と結晶

胡粉や墨を画布に付着させ水に洗い流す工程を経て布に残った絵筆の痕跡を見つける。

近年用いている手法は布の表面に自然の素材を堆積させると共に、布の内部組織への浸透も私に意識させました。

水に浸され布に定着された素材と流れ消えてゆく素材を眺めていると、布上にどんな事が起きたのか、前後の工程との間に画面に何が発生したのか考えるようになりました。顕れた形象が作品の物質のエネルギーとして宿り、それが周りの空間にも温度として伝わっていく様に感じられました

高山で眺める山肌は、原初の創造物の様に崇高な存在であり、一方で周りに自生した植物に内在する時間、細やかな粒子を想起させる大気の内包された空間は、地や天にも親密である様な感覚をもたらします。

高山に身を置くことは、空間の質感との共鳴であり、これは製作における私と布の関係性に似ていると思う時があります。森羅万象が〈私〉に浸透することは、私の意識が〈布〉に絵画として浸透していく、という関係性があり、この相似性が高山から布上に森羅万象の性質を帯びさせているのかもしれません。平面に原初的な場を呼び起こすことが私にとって絵を描く行為であり意識が結晶化した様相をその表面に見出しています。

 

 

mountain surface
2024
455×380mm
亜麻布 墨 胡粉 鉱物  鉄 錫

二つの高山植物
2024
652×530mm
亜麻布 墨 胡粉 漆 鉄

mountain surface
2024
530×455mm
亜麻布 墨 胡粉 鉱物 漆 鉄 錫

photo 鈴木良